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仙台高等裁判所 昭和25年(う)378号 判決 1950年8月31日

被告人

佐藤太右衛門

主文

原判決を破棄する。

被告人を罰金五千円に処する。

右罰金を完納することが出来ないときは金弐百円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

弁護人庄司作五郎の控訴趣意について、

所論に鑑み、記録を精査し、本件犯行の態様、その動機、原因並びに被告人の性行、経歴、家庭の状況等諸般の情状を綜合して考慮するときは被告人に対して罰金一万円を言渡した原判決はその量刑重きに過ぎるものがあると認められる。論旨は理由がある。なお職権を以て調査するに、原判決は米麥の生産者である被告人がその生産に係る判示粳精米を政府以外の者である佐々木一郎外一名に売渡したものであるとの本件食糧管理法違反罪に於て、その売渡が被告人の供米完納後の所為であるか否かの点を判示していない。しかし、その供米完遂の前後によつて、之に適用する法条が異なるのであるから、この点を明示していない原判決は結局法令適用の基礎となるべき事実を明確にしていない理由不備の違法があるものといわなければならないから、此の点に於ても破棄を免れない。(原判決の挙示する証拠によれば供米完納前の所為であることが明らかである。然るにその法令の適用に於ては供米完納後の所為に対する食糧管理法施行規則第二一条を掲げている。そして起訴状記載の訴因、罰条も原判決と同一であるが此の程度の違反は訴因等の変更手続なしに認定出来るものと解する)

よつて刑事訴訟法第三九七条に則り原判決を破棄し、同法第四〇〇条但書に従つて当裁判所自ら更に判決する。

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